【絵本のはなし】『くろいの』|読んだあと、ふたたび開きたくなる絵本
ある日、女の子が道を歩いていると、「くろいの」がいます。
誰だろう…。
くろいのはしゃべりません。けれど、なぜだか何かが伝わってくるようです。くろいのは、女の子を押し入れへと招き、夢のような楽しい時間を過ごします。

田中清代さんは、絵本作家、銅版画家です。『みずたまのチワワ』で絵を担当して以来、絵本を中心に制作されています。「くろいの」は、いつか絵本にしたいと温めていたキャラクターだそう。女の子とくろいのは、画面いっぱいに生き生きと動き回ります。
この絵本は、同じく本に関わる仕事をしている夫もお気に入り。中学校への出張授業に持参した際、ひとりの女子生徒が嬉しそうにページをめくっていた姿が印象に残っているそうです。
私自身も、以前いくつもの小学校でブックトークをする機会があり、その際にはかならずこの絵本を持っていきました。
「くろいの」を紹介するときはできるかぎり最初から最後まで読むことにしているのですが、読んでいる間じゅう、子どもたちは絵本をじっと見つめていました。
とくに暗闇からはじまる押入れのシーン(素晴らしいのでぜひみていただきたい)になったときには小さな歓声が。ブックトークが終わってからは、自由に本を読んでいいよという時間を15分程度設けているのですが、読んであげたはずの「くろいの」を、あらためて自分で開いて読んでいる子どもたちの多いこと!
時折、思い出したように開きたくなります。
寝る前に、子どもが『くろいの』を選んでくるときはたいてい、私も読みたかったときです。
田中さんの「ねえ だっこして」もお気に入りなのですが、この絵本についてはまた今度。
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033328805
(この記事は、デーリー東北での連載に、大幅に加筆修正を加えたものです)
くろいの
田中清代/作 偕成社
発行:2018/10/16 1,540円(税込)
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